こんにちは、スタッフひかりです。みなさんはCo-Edoのオーナー弘治さんとスタッフ丸ちゃんが毎週金曜に配信している『20時過ぎのラジオ』はご存知ですか?まだの方はCo-Edoのフェイスブックから聞けるのでぜひチェックしてみてください!
最近の『20時過ぎのラジオ』で話されているトピックは、『NVC』についてです。『NVC』(Nonviolent Communication=非暴力コミュニケーション)とは、1970年代に、アメリカの臨床心理学者マーシャル・B・ローゼンバーグ博士によって体系化され、提唱された、自分の内と外に平和をつくるプロセスであり、双方が満たされることを目指したコミュニケーション方法です。私もこのラジオを聞き始めてから、NVCに興味が出てきて、1週間前から『NVC 人と人との関係にいのちを吹き込む法 新版』を読み始めました。
自分はコミュ力がある方だと思っていたけれど...
以前、弘治さんにNVCを紹介してもらった時に、彼が話していたことをよく覚えています。それは、「若い世代の人はコミュニケーションを取ることに比較的困っていないから、NVCに興味を持つ人が、それより上の世代に比べて少ないと思う」といった内容でした。私はこれを聞いて、「確かに自分もコミュニケーションを取るのは得意な方だものな〜」と、なんとなく思ったことを記憶しています。それは、普段接客業をしていることもあり、初めて会う人と話す機会が多いことと、今まで私は、大学や職場などで意識的に「社交的で明るく」振舞うことをしているからです。しかし、この本を読んでいるうちに、実は「自分の気持ちや自分が欲しいものを人に伝えること」に対しては、なんとなく苦手意識を持ち続けていることを思い出しました。『NVC』では、「自分の本当の気持ちを言葉にして、自分が欲しいものを人に伝えること」こそがコミュニケーションだとされています。これを踏まえて自分を振り返ってみると、 実は私って人と話すことやコミュニケーション取ることに困っていたのかも...と ハッとさせられました。
そういえば、ちょうど20歳くらいの時に「自分はこうあるべきだ」という価値観に囚われて、そうなれない自分を恥ずかしく思い、失望し、精神的に辛くなってしまった時期がありました。思い返してみると、その時期が特に「自分の気持ちや意見」を出し辛かったような気がします。人前で何か意見を言おうと思っても、「相手に認められるような良い意見を言わなきゃ」と緊張してしまい、結局何も言えないことが続いていました。終いには自分が辛いということすら言葉にできなくなり、いつもなんだかしんどいと思うようになってしまいました。
この状態を何とか脱却したいともがいた私は、「自分はこうあるべきだ」という価値観は、一体どこから来ていて、それは誰からの期待なのだろうか、ということに疑問を持ち、問い直すことを始めました。その過程で、私は、人は生まれた時から、社会から様々なラベルを張られることを認識します。ラベルは人々を分断してきました。男/女、日本人/外国人、健常者/障害者、常識人/変人、白人/有色人種、健康/不健康...
私は、これらの二項対立的なラベルに自らを当てはめにいき、この枠組みの中で「正しい人」や「勝ち組」を目指していましたが、目指せば目指すほど、これに当てはまらなかったり、不安定だったりする自分を受け入れられず、排除しようとしたり攻撃しようとしたりするから辛かったのだと気づきました。これらの枠組みを疑い、問い直すことを始めたら、この世に正解や不正解だなんてことは無いのではないか、物事はもっとグラデーションで多面的であるのではないかと考えられるようになり、今は少しずつ、自分の「こうあるべき」を解いていき、自分を許したり、労ったりすることを試みています。
その積み重ねの結果、最近は精神的に健康になれる時間が増え、自分の意見を言うこともだんだんとできるようになったし、人前では明るく振る舞えるようになったけれど、一方で、自分は本質的には自己開示が苦手な、内向的で暗い人間だとずっと思っていました。だから、今でも自分の気持ちを話すのが苦手なのだと。でも、人前で社交的に振舞える自分は「コミュニケーションを取ることに困っていない」と本気で思っていたので「コミュニケーションを取ること」と「自分の気持ちを表現すること」は別のこととして認識していたのかもしれません。本当はコミュニケーションが取れなくて困っていたのに、原因は他にあると思い込んできたことがたくさんあるような気がしています。
NVCは表現方法を教えてくれた
「自分の気持ちを表現するのが苦手」なのは、自分が取るに足らない人間だからではない、ということにはたどり着けた私ですが、その原因の根本は、自分に自己開示が苦手な、内向的で側面があるからなのかもしれないとここ数年は思っていました。けれども、実はただ単に「表現方法を知らなかった」だけなのかもしれないと、この本を読んで気がつき、目からウロコがボロボロ落ちてきます。
自分が社会から貼られたラベルに気がつき、それを徹底的に剥がしたいと思った時、私は他人をこのラベルに当てはめるようなことはしたくない、誰かを勝手な判断で評価したり、決めつけたり、価値観を押し付けたくないと思うようになりました。それから、ここ数年は自分が使う言葉や表現にすごく配慮をしています。しかし、使いたくない言葉や表現はあるけれど、では実際、具体的にはどんな言葉を使って話したらいいのか、話す前に悩むようになってしまい、以前とは違った意味で言葉が出なくなったり、言いたいことが言えなかったり...。当たり障りのない会話しかできないことが増えてしまっていることにもどこかで気づいていました。でも、正直な気持ち、自分が使う言葉や表現にすごく配慮をしたいと思っているからこそ、そのせいで当たり障りのない会話しかできなくなっていることをあまり認めたくありません。そんな私に『NVC』は明確な表現方法をシンプルに教えてくれました。今までは、「この言葉は使わないようにしよう」とか「この表現はダメだ」とか、そういった「〜しない」という思考や選択をしていましたが、『NVC』を使うと「共感しよう」や「感情を言葉にしよう」といった「〜しよう」という考え方になるので、私はより能動的に言葉を発せている気持ちになり、自分に自信が持てるようになりそうです。