この記事は
コワーキング Advent Calendar 2013の記事です。
12/1(日)担当の
オオサカンスペースの
大崎弘子さんよりバトンを受けました。
というわけでわたしが
コワーキングスペース茅場町 Co-Edoの運営をしている
株式会社ダイレクトサーチジャパンの
田中弘治です。
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せっかくコワーキング Advent Calendarなんで、たまにはコワーキングスペースの運営に興味のある方を対象に書いてみたいと思います。というわけでいつもとは少し違う感じでいきますよー。
Co-Edoのグランドオープンは2013年1月7日ですが、物件を契約したのは2012年12月14日です。12月17日には
Wifi環境が整ったので見学を受け付けるということをしていました。
いろいろあってこのようなタイトなスケジュールで始めたのですが、それもこれも「物件選び」から入念に準備をして臨んだからともいえます。
今回は「コワーキングスペースを始める際に失敗しない物件選びのポイント」と題して、Co-EdoがPAビルを見つけるまでに検討した時のことなどを、記憶を頼りに書いていきたいと思います。
コワーキング事業は基本的に儲からないよっていう前提
えっといきなり身も蓋もない話をしますが、コワーキング事業は基本的に儲かりません。
昨日の大崎さんの記事で分かるようにオオサカンスペースは儲かっていますし、大宮の7Fを始めとして利益を出しているコワーキングスペースもいくつもあると思いますが、それでもこんな話をするのは、「基本的に儲からない事業」という認識で始められるかどうかは重要だと思うのです。
コワーキング事業が儲からない理由として主なものとしては
- 売上の単価が低い(ドロップインで1日1,000円前後。ちなみに海外だと2,000円とか3,000円とか普通にあるようです)
- 回転しない・もしくは回転が少ない(極端な話、終日利用者のみで席がうまることがある)
- 1坪あたりの席数が(飲食店と比較し)少なく、坪当たりの売上も少ない
という感じでしょうか。
物件選びのポイントとしてもっとも重要なことは「なんとかして(相場的に)坪単価の安い物件を契約する」ということです。
コワーキングスペースを始める場合、大きくふたつのパターンがあるようです。
- 物件が先に決まっている
- 物件が先に決まっていない
前者はオーナーと知り合いのケースなどで、先に物件があり、それを利用して「コワーキングスペースでもはじめようか」というケースですね。
わたしの場合は後者でしたので、その前提で読み進めていただければと思います。
つまり、自分で物件を選べるにも関わらず「坪単価の高い物件」を選択するのは、そのほかに強烈なアドバンテージがある場合に限られるということです。
最初にやること
ではいよいよ物件探しを始めましょう。
まずは「場所を絞る」ことから。わたしの場合は、東京の東エリアで始めようということは決めていましたので、茅場町・日本橋・東京駅・有楽町・新橋・秋葉原あたりをチェックしました。
もしあなたが飲食店の経営に詳しいということがなければ、自分がしょっちゅう利用する駅を中心に探すのが無難です。
このサイトのもっとも優れているところは、登録した条件で定期的にメールが届くことです。新着物件もそれで知ることができますので、場合によってはよそに出回っていない情報をゲットすることもできます。
このときのTipsとしては
まず絶対に焦ってはいけません。探し始めてすぐに良い物件に出会ったとしても、それに固執しより良い物件に出会えなかったりするのはもったいないですし、それ以上にその物件の悪いところを無視しがちになって却って失敗するということもあります。
また基本的にはコワーキングスペースという「営業」をするわけですから「店舗型」の物件を探すわけですが、オーナーの理解を得られれば「事務所」として貸している物件を利用することも可能でしょう。この段階では選択肢を狭めずにおいたほうが良いですね。
絞り込みの条件を決める
athomeの優秀な絞り込み機能を利用し、物件を絞り込んでいくわけですが、このときのポイントを。
立地
まずは立地ですね。
「どの駅にするか」「駅からの近さ」「ビル周辺の環境」「場所の分かりやすさ」など
コワーキングスペースは飲食店(居酒屋等)と違ってそこまで立地にこだわったりしません。路地裏のバーのようなもので、多くの利用者は「通りすがり」ではなく「目的があって探してくる」方が多いでしょう。
とはいえ場所がわかりやすかったり、駅から近いということに越したことはありません。
Co-Edoの場合、最終的に「茅場町」というさほど大きくない駅を選びましたので、そのぶん「駅からの近さ」には少しだけ重点を置きました。わざわざ茅場町で降り立ってもらって、さらに3分(以上)歩くというのは大変かなと考えたわけです。
反対に渋谷や新宿のような大きな駅であれば、駅から多少遠くても良いかもしれません。
物件の設備(ビル・部屋)
ここは一番考慮事項が多いかもしれませんね。
「広さ」「1F or 2F以上」「エレベーターの有無」「眺望・採光」「トイレ」「共用部分」「セキュリティ」「天井の高さ」「部屋の形」「ビル外観」などなど
いちばん重要なのは広さだと思いますが、これは現地で確認するまでわからないと思ったほうが良いです。慣れてくると図面だけを見て想像がつくようになりますが、単純に記載の坪数や面積では判断しないほうが良いです。
コスト
最後はもっとも重要な「コスト」です。
「家賃・共益費」「初期費用(敷金、礼金、その他)」「水道光熱費」「フリーレント期間」「賃貸借契約 or 定期借家契約」「退去時費用」(12/3追記※)
概ね、家賃は交渉可能ですが、共益費は交渉できない場合が多いです。
また敷金6ヶ月となっていても退去時償却で4ヶ月となっていて、実質的には礼金4ヶ月だったりということもあります。単純に数字で比較せず、ひとつひとつをくまなくみていかないといけません。
※
CEROの堀畑さんにご指摘いただき追記しました
良い不動産屋さんを見つけ、内覧する
実は物件探しで一番重要なのはここだと思っています。
気になる物件があったら内覧を依頼するわけですが、わたしは物件以上に不動産会社の担当者選びを慎重に行いました。
ここでのポイントは
- 「コワーキングスペース」を始めることを伝える
- 自分のために汗を書いてくれる担当者かどうかを判断する
- オーナーとの交渉が可能な担当者かどうかを判断する
という点です。
まず、「コワーキングスペース」を始めることを伝えることについて。
これを「あたりまえじゃないか」と思ってしまってはいけません。
今でこそ
大宮の7Fなどの活躍により不動産会社でコワーキングスペースについて理解ある方は増えてきていると思いますが、まだまだ「コワーキングスペース」というものを知らないという方もいるでしょう。
そのときに「コワーキングスペースについて簡単に説明し」「必要に応じて自分で調べてもらい」「レンタルオフィスとの違いを理解してもらう」ということが必要です。
とくに「レンタルオフィスとの違い」というのは重要で、スペースの又貸しに近い「レンタルオフィス事業」は、オーナーから敬遠される場合もあります。
ちゃんとコワーキングスペースというものを自分で調べ、オーナーに対し説明してくれるような担当者を見つけられないと、良い物件には出会えないと思います。
一般的な「事務所探し」や「店舗物件探し」ではないので、親身になって探してくれる方でなさそうなら、別の物件の内覧時は別の会社の方といきましょう。
そして「この人は」という方と出会ったら、athomeで見つけた物件であっても、その人に内見の依頼をしましょう。
素敵な物件に出会ったら、申込書を提出する段階で、オーナーと交渉することになります。自分の希望額で申込書を記入し提出すれば、担当者の方がうまく交渉してくれると思います。(反対に、交渉できない担当者とは残念ながら物件探しはできません)
「家賃」「フリーレント期間」「その他の交渉事項」を遠慮無くぶつけましょう。借りたあとの家賃交渉は難しいですが、契約前はもっともチャンスがあります。
最後に
興味がある方はぜひご参加いただきご質問ください。
コワーキング事業というのは本当に大変だと思います。
ですが、以前ふとつぶやいたひとことがあり、いつもそれを頭の片隅に入れて運営しています。
あなたもぜひコワーキングスペースを始めてみませんか?
コワーキングスペースをやろうなんて人は、正直バカだと思います。
一方で、コワーキングスペースをやらないのは、なんてもったいないんだとも思います。
この自己矛盾をちゃんと消化できる人のみが、コワーキングスペースの運営に向いているんだと思います。
https://www.facebook.com/kohji.tanaka/posts/490881384300073