2015年4月6日月曜日

コワーキングスペース運営者が意識すると良いかもしれないCW理論について

みなさんこんにちは。
コワーキングスペース茅場町 Co-Edoを運営する株式会社ダイレクトサーチジャパンの田中弘治です。
久しぶりに、コワーキングスペース運営者向けに記事を書いてみたいと思います。

1号店は郡山駅近くで、7Fと同じ規模のフロアが2フロアということで、運営形態等の詳細は不明なものの、いわゆる第三世代型のコワーキングスペースに近い運営(もしくは第二世代型と第三世代型の両方の良さを活かしたスペース運営)となるのではないかと思います。ぜひとも成功してもらってコワーキングスペースの成功モデルを確立してほしいですね。
もともとこの『コワーキングスペースの世代論』は、コワーキングスペースという定義があるのかないのかはっきりしないものにおいて、多種多様なスペースをすべておなじ「ひとつのビジネスとして」語ってしまうと、議論してもしかたないと思い、まとめたものです。

代表的なのが、いわゆる「コワーキングスペースは儲かるのか否か問題」です。
第一世代型のスペースと第三世代型のスペースを並列に「儲かるのか否か」と話を進めるのは有意義なものとは思えません。

一方で仮に「第◯世代型のスペースが儲かる」ということが分かったとしても、それをもって、「では第×世代型のスペースは意味が無い」とはなりません。

先の記事にも書きましたが、どれもコワーキングスペースですし、そもそも利用者の求めるものも多様化しているはずだからです。

それでは、ビジネスという視点ではなく、「コワーキングスペース運営」という視点で、何か同じように共通言語化できないかということで、作ってみたのが『CW理論』というものです。
(念のため補足しますと、儲かるかどうかとか儲かるためにどうするかという視点ではなく、良いスペースにしていくためにどうすると良いかという視点です)

コワーキングスペース運営において意識するべき事項はたったのふたつしかない!?

利用者は何を求めてコワーキングスペースに集うのかを考えていくうちに、大きくふたつの指標があるのではないかと考えました。

それが
  • コミュニティ
  • 利便性
というふたつの指標です。

前者は、他の利用者との交流といった、コワーキングスペースがコワーキングスペースたらしめる部分が、いかに利用者ひとりひとりにとって良いものとなっているかという指標です。

後者は、利用者が例えばワークスペースとして利用するにあたり、いかに良いものとなっているかという指標です。

突き詰めていくと、このふたつの指標で、コワーキングスペースが利用される90%以上は語られるのではないかと思ったのです。

CW理論の概要



もともとリーダーシップ行動論のPM理論というのがあり、それを応用するかたちで作ったものです。

PM理論とは、リーダーシップをP:Performance「目標達成能力」とM:Maintenance「集団維持能力」の2つの能力要素で構成されるとし、目標設定や計画立案、メンバーへの指示などにより目標を達成する能力(P)と、メンバー間の人間関係を良好に保ち、集団のまとまりを維持する能力(M)の2つの能力の大小によって、4つのリーダーシップタイプ(PM型、Pm型、pM型、pm型)を提示し、PとMが共に高い状態(PM型)のリーダーシップが望ましい、とした理論です。(参照 :http://leadershipinsight.jp/dictionary/words/pm_theory_of_leadership.html

CW理論とは「コワーキング運営を C: Community(コミュニティ要素)と W: Working(作業する場所としての利便性の要素)のふたつの要素に分けて考え、CとWがともに高い状態のスペースが望ましい」とした理論です。



CW理論をもとに、コワーキングスペースを4つのタイプに分けることができます。
  • CW型(ラージCW)
    • C要素も高く、W要素も高いスペース。
  • C型
    • C要素が高く、W要素が高くないスペース。
  • W型
    • W要素が高く、C要素が高くないスペース。
  • cw型(スモールcw)
    • C要素もW要素も高くないスペース。

C要素について

C要素はコミュニティとしての良さと言えますので、C要素の高いスペースには、たとえば以下のような要素があるかもしれません。
  • 利用者同士が仲が良い
  • 運営者がフレンドリーで話しやすい
  • 常連だけではなく、新規の人もコミュニティに加わりやすい雰囲気がある
つい何度も行きたくなるようなコミュニティにするために運営者としてできることは、たとえば以下のようなものがあるでしょう。
  • 利用者間交流ができるイベントを行う
  • 利用者同士がつながりやすくする仕組みを作る
  • 利用者がおしゃべりをしやすいスペースを作る

W要素について

W要素は作業する場所としての利便性と言えますので、W要素の高いスペースには、たとえば以下のような要素があるかもしれません。
  • 最寄り駅が使いやすく、駅からも近い
  • 営業時間が長く、定休日が少ない
  • 設備・備品が充実している
  • はじめての利用でも、何があるかが分かりやすく、困ることがない
  • 長時間座っていても疲れない椅子がある
  • 集中したいときは集中しやすい環境がある

C要素・W要素について

CWのいずれの要素とも、利用者ひとりひとりの判断の蓄積です。
最寄り駅は「茅場町駅よりも渋谷駅のほうが良い」と判断するひとが多いと思いますので、その点においては、渋谷駅のスペースのほうがポイントが高くなると思います。

コミュニティについても、居心地の良さというのはひとりひとり違うでしょう。
とはいえ、たとえ自宅から遠くても行きたくなるコワーキングスペースというのは、他よりもC要素が高いスペースだといえると思います。

コワーキングスペース運営者はC要素とW要素のどちらをより意識するべきか

それでは、コワーキングスペース運営者はC要素とW要素のどちらをより意識するべきでしょうか。

もちろんC要素もW要素も大切です。

ですが、多くの場合、W要素は最低限の改善を意識し、C要素を上げるための努力をしていくと良いのではないでしょうか。

というのも、比較的W要素はお金が必要なものが多いです。
コワーキングスペースの運営において、細々とした改善事項は多いでしょう。ひとつひとつ改善していくこともとても大切です。

しかし一方で、立地は変えられませんし、お金をかけたスペースには設備ひとつとっても(W要素では)逆立ちしても敵わないというのも事実です。
それよりは、自分(たち)しかできないことをやっていくのはいかがでしょうか。

もし、あなたのスペースがcw型であり、CW型を目指すのであれば、C要素にフォーカスするほうが近道です。

第一世代型・第二世代型のスペースは、第三世代型のスペースが真似できないやり方で、利用者を喜ばすことができるはずですから。

さいごに

コワーキングスペースを世代別に考えてみて想うことという記事でも書いたように、今後もコワーキングスペースは多様化していくと思っています。

そのなかで、自分の運営するコワーキングスペースがどのようなスペースを目指すのかということを考えるときに、CW理論がその一助となれば幸いです。

ちなみにコワーキングスペース茅場町 Co-Edoは、W要素の改善を昨年9月より順次始めていき、それをしているなかで、たまたま2フロア化の機会を得たので一ヶ月弱の短期間で一気に拡張しました。
これもW要素について日々意識していたのでできたことだと思います。
結果的に、ユーザーが倍増したことで、C要素も向上するという相乗効果も得られています。

このあたりのお話も、たまには必要に応じてしていこうと最近思い始めました。
興味があれば、ぜひCo-Edoにいらしてください。
お待ちしています!